台風による建物の被害は、主に「風害」「水害」「高潮害・波浪害」の3つに大きく分けられます。それぞれ具体的な被害内容を見ていきましょう。
1. 風害(強風・暴風)
台風の強風は、建物に直接的な損傷を与える最も一般的な原因です。
- 屋根の破損・飛散
- 瓦、スレート、金属屋根などが強風によって剥がれたり、飛ばされたりします。特に老朽化した屋根や、固定が不十分な屋根は被害を受けやすいです。
- 屋根材が飛散することで、近隣の建物や車、人に損害を与える二次被害も発生します。
- 屋根の下地材(野地板など)がむき出しになり、雨漏りの原因となります。
- 外壁の損傷・剥がれ
- サイディングやモルタル壁にひび割れが生じたり、剥がれたりすることがあります。
- 特に風圧が集中しやすい建物の角や開口部周辺は被害を受けやすいです。
- 窓ガラスの破損
- 強風による風圧で窓ガラスが割れたり、ひびが入ったりします。
- 飛来物(瓦、看板、物置など)が衝突して窓ガラスが割れることも非常に多いです。窓が割れると、室内に風が吹き込み、内圧が上昇して構造体にさらなる負担がかかることがあります。
- 雨樋の破損・脱落
- 雨樋が強風にあおられて変形したり、取り付け部が破損して脱落したりします。
- 雨樋が機能しなくなると、屋根から落ちた雨水が直接外壁に当たり、外壁の劣化や雨漏りの原因になります。

- アンテナの倒壊・破損
- 屋根やベランダに設置されているテレビアンテナが強風で倒れたり、破損したりすることがあります。
- 倒れたアンテナが屋根を損傷させることもあります。
- カーポート、物置、ベランダなどの破損
- 比較的軽い構造のカーポートや物置、ベランダの屋根などが強風で飛ばされたり、骨組みが歪んだりすることがあります。
- 建物の全壊・半壊
- 猛烈な台風の場合、木造住宅が倒壊したり、基礎から引き抜かれたりするほどの甚大な被害が発生することもあります。

2. 水害(豪雨・浸水)
台風に伴う大雨は、建物に浸水被害を引き起こします。
- 雨漏り
- 屋根の破損や外壁のひび割れ、サッシの隙間などから雨水が侵入し、雨漏りが発生します。
- 天井や壁にシミができたり、カビが発生したり、木材が腐食したりと、建物内部に深刻なダメージを与えます。
- 特に築年数の古い建物や、メンテナンスが行き届いていない建物は雨漏りのリスクが高まります。
- 床上・床下浸水
- 河川の氾濫や排水設備の許容量を超えた雨水により、敷地内や家屋が浸水することがあります。
- 床下浸水は建物の基礎や土台に、床上浸水は床材、壁、家具、家電製品などに大きな被害を与えます。カビの発生、異臭、電気系統の故障など、復旧に多大な費用と時間が必要となる場合があります。
- 土砂災害
- 大雨によって地盤が緩み、土砂崩れや崖崩れが発生し、建物が流されたり、土砂に埋もれたりする被害が発生することがあります。
3. 高潮害・波浪害
沿岸部に位置する建物は、台風による高潮や高波の被害を受ける可能性があります。
- 建物の破壊・破損
- 高潮によって海水が住宅に押し寄せ、建物の基礎や構造体にダメージを与えたり、家具や家電製品が水没したりします。
- 高波が直接建物に打ち付けることで、外壁や窓ガラスが破損するなどの被害も発生します。
- 塩害
- 海水が建物に付着することで、金属部分の腐食やコンクリートの劣化が促進されるなど、長期的な被害につながることがあります。
これらの被害は、建物の老朽化やメンテナンス不足によってリスクが高まります。特に、屋根や外壁といった外装部分は、台風の影響を直接受けるため、定期的な点検と補修が重要です。

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